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ver.Shanghai な日々


by MiHO-panda

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それはいつも通り、のんびりと仕事をしていた午後。手帳を開いてスケジュール確認をしていたら、なんだか頭がふわふわと揺れているような感じがする。

あれ、めまいかな、そんなに疲れてたっけーとしばらくその揺れに身を任せていたら、、、突然横にいた同僚が「揺れてる!」と小さな声で叫んだ。それではっと我に返った。まさか、地震?でも中国で地震はめったにないって・・・そんなことを考えている一瞬のうちに、たちまち周囲が大騒ぎになった。とにかくみんな荷物持って!避難しよう!と非常階段へ走る。上司がオフィスの入り口に立って「早く、早く!」と皆を急かす。

うちのオフィスは高層ビルの31階にある。そこからひたすら階段を下りて下りて下りて、もう自分が今何階にいるのかすら分からない状態。その間にもビルはゆっくりと揺れ続けている。途中の階からも次々に人が飛び出してきて、皆でなるべく押し合わないように気をつけながら下の階へと急いだ。一体何が起こってるんだろう。9.11テロの映像が脳裏をかすめる。得体の知れない恐怖に心臓がばくばく音をたてる。

そしてやっと地上へ出られたとき。ほっと安堵してふと後ろを振り向くと、妊娠3ヶ月の同僚が半泣きになってお腹をさすっていた。もうだいじょうぶ、だいじょうぶだよ、って彼女の頭を一生懸命なでながら、自分自身も心を落ち着かせようと必死だった。辺り一帯はあちこちのビルから避難してきた人たちで溢れている。皆が手に携帯電話を持って誰かと連絡を取り合っている。

どうやら本当に地震だったらしい。それで私はとりあえず一安心だった。でも周りの中国人同僚たちはほとんど地震を経験したことがなかったらしく、口々に怖い、怖い、と言い続けていた。

それが四川省の地震に起因するものだったと知ったのは夜になってから。テレビでも「汶川地震」として特集が組まれ、現地からの最新ニュースを昼夜問わず報道し続けている。いったい震源地から数千キロ離れた上海まで到達する地震波というのはどれほど巨大なものだろう。しかも今回被災した地域は、3月末に九賽溝へ旅行したときの観光バスルートそのものである。あの時の風景はまだ昨日のことのように甦ってくる。

実際に「外国人観光客の乗った観光バスが地滑りに巻き込まれて数十人死亡」という記事があった。もうまったくもって人ごとという気がしない。そして旅の途中で出会ったあの場所の、あの人たちは今ごろ無事でいるんだろうか。被災地の現状が明らかになればなるほど、ただ胸が痛い。
# by miho-panda | 2008-05-13 18:43 | in 上海
旅行初日。ウルムチ空港で私たちを待っていてくれたのは現地ガイドの馬媛さん。(ma-yuan、私たちはマエンさん、と呼んでいた)。回族のとてもキュート、かつ大らかで素敵な女性。今回彼女に助けられたことは数知れず、で本当にお世話になりまくりでした。
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まずはウルムチにて、桜蘭美女ミイラの眠る博物館や地元の人たちで賑わうバザールへ。街はすでにウイグル族の熱気とウイグル語に溢れていて、全く中国にいるという感じがしません。中国語通じるのが不思議なくらい。
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この日の夜からさっそく南疆鉄道の寝台列車に乗り込み、次の目的地クチャへ向かう。

列車に揺られながらふと真夜中に目が覚めて頭上の窓を見上げると、すぐそこに北斗七星が輝いていた。こんなに綺麗な北斗七星を見るのは何年ぶりだろう。少し手を伸ばせば届きそうなほど。ああ、新疆に来たんだなぁと幸せな気持ちになってまた眠りにつく。そして朝の6時半頃(≒新疆時間4時半頃)再び、のそのそ起き出してみると、まだ蒼い空にはひんやりとした月が浮かんでいた。
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みんなで窓に張り付くようにしてただその光景にうっとりと見入る。長い長い列車は荒涼とした山間の大地を行く。
# by miho-panda | 2008-05-03 00:00 | 新彊ウイグルの旅

ウイグル族の笑顔

今回の旅で何より印象に残ったのはウイグル人の礼儀正しさ、大らかさ、そしてその笑顔。旅の途中で知り合っていきなり「ちょっと家を見せて」ってお願いしても、みな快く、いいわよどうぞーと招き入れてくれるのです。
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ところどころで彼らを何気なく観察していると、ご飯を食べる前にテーブル上の食器を拭き直したりお茶で軽く洗ったり、スーパーでは店員さんがビール瓶を一本一本拭いてから陳列していたり、レストラン内で料理を持った店員さんとすれ違えばさっと道を譲ったり・・・。何も特別じゃない当たり前のことかもしれないけど、普段中国の他の地域で色んなものを見慣れてしまっている私たちには逆に衝撃だった。
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とある屋台で食べた日は、私たちが食べ終わって席を離れたあとに物乞いのおじさんがやってきて、てっきりそのまま追い払われてしまうんだろうと思っていたら、店主は私たちの食べ残しを一つにまとめ、物乞いのおじさんをテーブルに座らせて食べさせていた。こんな光景はいまだかつて中国でも日本でも見たことがない。

そして道ゆく彼らに突然ぶしつけにカメラを向けても、怒るどころか恥ずかしそうに笑ってポーズを撮ってくれる。
注文を取りに来れば「ニホンジン?日本語ではこの言葉はなんていうの?」と嬉しそうに話しかけてきて、子供たちはと言えば無邪気に「撮って、撮って!!」と集まってきてはその画像を見てみんなで大騒ぎ、である。
女性たちは皆ため息が出るほどファッショナブルなスカーフ使いで独特のスタイルの服を着こなし、男の人たちはバリっとドッパ(四角または六角の帽子)をかぶり街を闊歩する。
そんな光景の連続で、私はいつしかこのウイグル人という人たちをとてもとても好きになっていた。
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ここには少なくとも上海人たちが言うところの「外地人」のような影はみじんもない。それどころか彼らは他人と自分とを比較することで生まれるそんなちっぽけなプライドではなく、自分が自分であることをただ肯定するウイグル人のプライドみたいなものを持っているような気がした。自分に自信があるから他人にも優しく大らかになれる。そんなパワーにこの地は満ち溢れている。
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■limei、さばくーーーーほんとすごいね。そりゃフォーリンラブするわ。笑 カメラのことはかんたろうからも言い聞かされていたので、当日は応急処置でサランラップ巻いたりしてたよ。砂の海、気持ちよかった。
# by miho-panda | 2008-05-02 23:41 | 新彊ウイグルの旅

新疆人というひとたち

私が上海に来た当時から周りに言われ続けていたこと。「新疆人を見たらスリだと思え」。

それはあながちウソでもないことを後々思い知る。かつてこんなこともあった。タクシーに乗っていて赤信号で車が停車中だったとき、隣に乗ってたかんちゃんが突然ドアを開けて外に向かって大声で何か叫んだ。私は一瞬何が起きたのか分からなかったのだけど、どうやらスリの男の子が家族連れのバッグから財布を抜き取ろうとする瞬間を目撃したらしい。
しかもその子はそれが失敗に終わったことに腹を立て、道端の石をつかんで今にもタクシーのガラス窓越しに殴りかかってこようとするじゃないか。思わずやめて!!とかんちゃんをこっちに抱き寄せた。事の重大さに気付いたタクシーの運転手さんも大声で男の子に一喝。それでなんとか事無きを得た。

だけどあのときの男の子の、悔しさと悲しさに満ちた見据えるような目つきを今でも忘れられない。明らかに漢民族とは違うくっきりした顔立ちの新彊人の子だった。きっといたずらにスリなんてやってるわけじゃない。こんなに小さなうちから生きることに必死なんだ、とその背景にあるものを垣間見た気がして、怖さよりもただ胸が痛んだ。

上海には「外地人(ワイディレン)」という言葉がある。上海人が、上海以外の地方から来た人のことを指す言葉で、それは明らかに「自分たちとは異なるもの」と、ちょっと差別したような感じで使うことが多い。そして上海人はめったに悪いことはしない、上海で犯罪を犯すのはほとんどが「外地人」であると皆が口を揃えて言う。またその多くは、主に地方の農村や新疆などから来た人たちのことを指している。

最初は私もそれをそのまま捉えていた。上海人は皆いい人で、外地人はわざわざ都会に出てきて犯罪を犯す人たち。だけど自分が今色々なものを目で見て話を聞いて、それは必ずしも正しい見解ではないと思うようになってきた。何と言っても今の中国には、彼らがそうならざるを得ない状況がある。

中国経済の急速な発展の恩恵を受けているのは主に沿岸部の都市だけであって、そこへ内陸部から仕事を求めてやってきた人たちが仕事にあぶれ、スリや悪事を働いてどうにか食いつないでいるという話もよく聞く。現在は野菜や豚肉の価格が数年前より高騰しているらしいけど、それは上海で上乗せ価格として徴収した分を内陸部のほうへ分配しているからだと大学の先生が言っていた。だけどそんな政策は恐らく焼け石に水程度のものでしかない。今の中国はそれほど歪んだ発展を遂げてしまっている。

そんな中でのウイグル人、つまり一般に「新疆人」と言われる人たちのイメージ。それは上海や北京などの沿岸部から数千キロも離れた土地で、今なお中国の統治下における貧しい生活を余儀なくされている悲しい人たち。ただそう思っていた。...そう、今回の旅をするまでは。
# by miho-panda | 2008-05-01 23:17 | 新彊ウイグルの旅

Road to SILK ROAD

小学生の頃、音楽の時間に演奏した曲で今でも忘れられないものがある。それは喜多郎の「シルクロード」。導入部分のリコーダーから静かに始まり、中盤でアコーディオンや鼓笛の伴奏が加わると、その独特のメロディーがなんともいえない異国情緒漂うものに仕上がって体中にざわっと鳥肌が立つような感じがした。そのたびいつも思っていた気がする。シルクロードっていったいどんなところなんだろう、と。

今回の旅は年明けから練りに練って計画を立てていたもので、出発3日前の今日になってやっと全部の手配が確定した。途中、チベット独立デモに起因する民族独立運動が新疆まで広がりつつあるとか、3月にホータンで大地震があったとか、治安上の色んな局面があって一緒に行く予定の旅行メンバーが脱落したり新加入したり。・・・結果「砂漠でなら死んでも悔いはない」というバカ女5人での旅行となる。

メンバーの一人は会社の中国人同僚にこう聞かれたらしい。「新疆なんかに何しに行くの?」
そして彼女はこう答えた。「360度の砂漠と、180度の星空をみにいくの!」

まずは上海からウルムチまで飛び、そこから南疆鉄道の寝台列車でクチャへ向かい、次の日はタクラマカン砂漠を北から南へ縦断。砂漠の真ん中にテントを張って一泊した次の日は、ホータン→ヤルカンド→カシュガルへ。カラクリ湖を観たあとはまた一気にウルムチまで飛び、最終日にトルファンを観光して上海に戻ってくる。

正直、かなりの強行日程。日本が4つ入ってしまうという広大な新疆ウイグル自治区を一週間強でほぼ一周することになり、移動距離は車中だけでも数千キロに及ぶ。

今はシルクロードに関する歴史や知識を必死に頭に詰め込んでいるところで、さらにかんちゃん所有の「NHK新シルクロード」特集をプロジェクターで見ては、ここに行けるのね・・・と一人胸を熱くしている日々です。この人なんと喜多郎の「シルクロード」CDまで持っていた。もちろんi-podに入れていくことは言うまでもなく。

あのときの「シルクロード」を、本物のシルクロードで聴ける日が来るんだ。ああ、もうすぐ。
# by miho-panda | 2008-04-23 15:28 | 新彊ウイグルの旅